イースト・コースト・ジャズとハードバップは別物と考えるべき。
と、考える御仁もいらっしゃるが、本作は数少ない
イースト・コースト・ジャズ=ハードバップ の例だと思う。
レッド・ガーランド以外はハードバップと一線を画する、白人主導の
イースト・コースト・ジャズ派で構成されていながら、内容は完全に
ブルーノート的な黒々としたハードバップに仕上がっている。
それもそのはず。 チャーリー・パーカー未亡人を娶ったフィル・ウッズに
テディ・コティックとニック・スタビュラスはジョージ・ウォーリントンの
バンドで鳴らした筋金入りの“特別志願黒人”的スタイルなのだから。
特に白人フィリー・ジョーとも言うべきニック・スタビュラスの快演は、ジョージ・ウォーリントンの
『ジャズ・アット・ホッチキス』に次ぐ素晴らしさだ。
刺激的な高音が特徴のレイ・コープランドはスイング系ビッグバンド出身でオスカー・ピーターソンや
セロニアス・モンクのレコードでも有名だが彼のソロがコンボでたっぷり聴ける点で
本作の価値は高い。
シリアスな雰囲気のモダンジャズが好みのファンには本作はうってつけだろう。
レッド・ガーランドは、黒人ハードバッパーの中では最も享楽的な位置にいるピアニストだが
ここでは異様なほど緊張したソロを聴かせ、普段のカクテル調に慣れ親しんだ耳には
別人のように思えるはずだ。
スガン/フィル・ウッズ
100枚目のコアなジャズアルバム紹介は “スガン/フィル・ウッズ” に加筆・修正を加え転載。
|